合同誌のひらき方(企画編)
はーい、なるほどちゃんです!
ここを読んでいるあなたは多分、どなたかと一緒に同人誌を出したいと思っていますね? 「合同誌」はそんな自分の”好き” を共有できるいい機会です。そんな合同誌を企画、主催する方法を余すところなくお伝えしていこうという連載企画です! 全9回を予定しているので、じっくりと読んでいってくださいね。
本連載企画の概要と前提
本企画は同人誌を作ったことはあるけど、合同誌みたいに人を募って一冊の本を作成したことがない同人活動初心者+アルファくらいの人を対象にしています。
合同誌の他に似たような単語として「アンソロジー」がありますが、ここでは区別をせずに多数の参加者で一冊の本を作成する同人誌を「合同誌」という用語で統一します。
この合同誌主宰指南はあくまで一例です。ご自身の主催したいと考えているジャンルによっては全く逆の方法、例えば参加者から印刷費を取るかや、それら金銭面を公開するかどうかなどを考慮に入れる必要があります。どちらにせよここで公開されている方法が全てではありませんし、もし失敗となったとしてもこちらは一切の責任を負いません。ここはあなたの覚悟にかかっています。
さあ、合同誌を始めよう!
合同誌、本当にやりたいならまずは腹を括ろう
いきなりしんどそうなことを言い始めましたが、合同誌はすごく面倒なことが多いです。それらを一切合切主宰するあなたが背負う必要があります。ですので、本当に最後までやり切るぞ!!! という覚悟がまずあなたには必要です。……実は合同誌にするほど熱量がなかったわぁ、という場合にはゲストページを用意して自分の同人誌に1ページだけ描いてもらう、その方が良い場合もあります。
それでもいい……! いいんだ……! というあなた、すごいですね!
じゃあ合同誌、やってみましょう!
熱量と勢いで企画を練り上げよう
熱量こそ正義
自分には作りたいものがある! という気持ちが強ければ強いほど人は集まります。小さな問題は熱量でカバーが可能ですし、場合によっては参加者が自ら解決に乗り出すこともあります。
熱量は作りたいものを明確にしてくれるので、あったかいうちにどんどんと話を進めることが望ましいです。こねくり回して冷めてから募集しても誰も興味を持ってくれません。
力 is パワー、パワー is カロリー、 カロリー is ジャスティスだ!
じゃあ、どんな合同誌にしようかな?
あなたがやりたい合同誌、具体的に言語化できますか?
例えば「『艦隊これくしょん』の最上について描いてある合同誌が読みたい」が動機だとしたら、このままでは完成しないでしょう。”何について描いてある本”が読みたいのですか? という問いにとことん向き合う必要があります。もっと細かく自分のやりたいことを絞って、誰がみても「どのようなことを描けばいいのか」、また買う側からすれば「どのようなことが描かれているのか」が明確な合同誌にしましょう。
この例えを細分化するなら「『艦これ』の“最上”が提督とケッコンする前夜を描いた合同」くらいまで絞っても問題ありません。描くことが明確になると、その後にタイトルを考えたり、販促をしたりするときに非常にやりやすくなります。かわいいよね、最上ちゃん。タイトルはこの時点では考えてなくて問題ありません。でも、自分が描く内容くらいは決まってた方がいいですね。
企画の内容をまとめよう
企画は最近ではTwiplaなどでお手軽に始められますが、まずはGoogleスプレッドシートを使ってまとめていきましょう。iPadやスマホでも見ることは可能ですが、編集するとなるとちょっと面倒です。まずはパソコンの前に座ってください。そして今回はこのスプレッドシートを中心にコトが動いていきます。後ほど見やすく整形しますが、まずは雑多にいろいろ書いていきましょうね!
また、これを書いた後は、参加者のみ見れるリンクの共有(「URLを知っている人全員」の共有)にし、まだ大っぴらに公開はしないでおきましょう。
- 完成形がわかる概要
- 内容に含めてほしいもの、こと
- 内容に含めてはいけないもの、こと
- 制作物の提出方法、場所
- 締め切り(提出期限はネーム、線画などの完成度に応じ複数回設定すること!)
- 制作のタイムスケジュール(特に最終締め切りや入稿期限などを明記するとよいでしょう)
- 完成後の提出された制作物の扱い(個人誌やウェブサイトでの公開制限期間を設けるなど)
- 制作物の情報(B5冊子、350dpi、表紙カラー本文モノクロ、など)
- 印刷所情報
- あとがきの有無
- 頒布や委託先
- 宣伝やサンプルの掲載
- 謝礼の方法(また、赤字が出た際の処理方法)
完成形が分かる概要
「わたしはこんな合同誌が作りたくて企画をしました。みんなもこういうシチュエーション大好きでしょ?? 一緒に狂った作品作りませんか」
そんなあなたが思っている内容が呼びたいみんなに伝わるような怪文書を書きましょう! ここがふわっとしていると、参加した、呼ばれたけど何を描いたらいいかわからないな……ということになり、完成しないことにもなりかねません。
内容に含めてほしいもの、こと
合同誌の企画に沿うような内容を含めてもらわないと、合同誌としてのまとまりがありません。例えば
このほか、周知・共有すべき事項はすべてこのドキュメントにあなたがまとめましょう。シートを分け、名前をつけることで管理、周知がしやすくなります。
制作物のファイル形式や提出方法を事前に決めておくと編集作業がしやすくなります。メール、Discord、Twitterなどはファイルの転送サイズに難があるのでGoogleDrive、Dropbox、ファイル転送サービスなどから指定するといいでしょう。アナログの場合は送付先住所を個々人宛に直接送り送付してもらうのもいいですが、そもそもスキャンした後のデータをもらう方が確実です。
さて、こちらのスプレッドシートは参加を呼びかけた際に、名前を書いてもらうようにしてもらうと良いでしょう。そのためには共有をかける必要があります。設定から、リンクを知っている人全員が編集者になるように権限を変更しておきます。
裏で管理する用のスプレッドシートも用意します
先ほどまで作っていたのは参加者を募集する際に実際にみんなに見せて、そして名前を書いてもらう用のスプレッドシートです。
それ以外に、誰の原稿をどの順番で載せるかといった台割りやいくら経費がかかっているかなどをメモする出納帳の役割を持ったスプレッドシートも用意しておきます。こちらは自分だけが見えるようにしておきます。
次回は人を集め始めます。たくさんの人に声をかける? それともお友達だけ?
今回の合同式企画の説明では、不特定多数の方を対象にした合同紙を発行する前提で進めたいと思います。そのため、たくさんの人に声をかけ、最終的には公募も実施するようなやり方の説明ができればと思います。
次回、参加者募集編に続く……はずです。